月曜日, 5月 12, 2008

三段合格!


 まったくの稽古不足が続いたために内心これは無理かと思っていたのだが、、、審査に合格した。剣道三段。昨日のことである。

 朝から大田区の審査会場である大森高等学校に向かう(写真は審査後の会場)。段審査というのは実技、剣道形、筆記の3つがあり、東京都の場合は筆記は事前に書いて提出する論文形式だ。まずは受付とともにこの筆記問題を出す。

 次が実技である。この日は初段、二段、三段の審査なので順番に待つ。自分の番は昼過ぎになった。この実技の順番は年齢の若い順なのだが僕は三段の中での一番後35番だったので最年長ということになる。周りはほとんどパワフルな高校生。
 さて実技の順番が来た。気合と沈着さを忘れないようにと自分に言い聞かせて競技場に向かう。実技は二人と対戦して基礎力を見られる。真っ直ぐに相手に向かい体からぶつかる面を打つ。決して下がらずに攻める。剣先を胸元につけてそのまま攻める。また打ってきた出鼻を小手を打ちそのまま前に出る。手応え十分で実技を終わった。

 実技の合格者が次の剣道形の審査となるが発表を待つ時間に形の練習を無心でやっていた。発表の掲示を見ると合格! ほっとした。思いの他きびしく合格者は21人。欠席者はほとんどいなかったので3割以上は落とすという例年にない厳しさであったようだ。

 ここで次の審査試験である剣道形について簡単に触れておく。太刀を使った形が七本あり三段はこの七本の形を審査する。形は打太刀(先に攻める方)と仕太刀(攻めをかわして反撃する方)の二人で行う。動作がすべて決まっており、これをまず完璧に憶えることとそれぞれの所作の意味を理解して太刀振る舞いを行うことが必要だ。剣道形の心がわからないと動作の意味がわからないために、機械的に憶えるだけでは失敗する。

 この日の形は打太刀だった(直前で指示される)。打太刀は師の太刀と言われ形の演武にわたって相手をリードしなければならない。ミスもなく形を終了。たぶん大丈夫であろう。

 筆記は事前準備のために落とされることはまずない。合格した。ほっとした。二段になってからほぼ六年経った。二段になった直後にやめてしまい再開したのが昨年の六月だった(「剣道再再開」参照http://zacky-kohs.blogspot.com/2007/06/blog-post_15.html)。また昨年の12月に審査を断念したことも以前述べた(「段審査を断念」参照http://zacky-kohs.blogspot.com/2007/12/blog-post.html)。

 段審査断念から3ヶ月経ってようやく稽古に復帰した。肋骨は何とか練習に耐えられる程度には痛みが薄らいできた。久しぶりの稽古はどうなることかと思ったが、胴紐の結び方を少し混乱して忘れたぐらいで普通にできた。最初の15分がきつかったが、すぐに取り戻すことができた。
 実は翌日はある試合に出なければいけない。もう少し前に稽古再会の予定だったがぎりぎりの再会となってしまった。
 さてその試合は実業団高壮年大会というのだが、、、

 負けた。相手は3段なのだが勝てない相手ではなかった。悔しかった。延長戦までもつれ込んだが最後に相面(同時に面を打ち合うこと)で先に取られた。飛び込んで打ってきた相手と起こりを待って合わせにいった僕との差が相手に先に打たせてしまった。

 その後も忙しくてまったく稽古ができない状態が続いた。今回は気力で合格したのだと思うが本当に嬉しかった。直前になって形の稽古をや筆記のアドバイスをしてくれた羽田の道場の諸先輩に心より感謝します。

 以下は筆記試験で提出した回答。

(1)応じ技について述べよ。

相手の動きに応じて打つ「後の先」が応じ技であるが、決して受身ではなく相手の技を攻め相手の技を引き出すことにより先を取る。以下技を述べる。
(イ)すり上げ技
相手の竹刀を下から表または裏ですり上げて中心から外して遠山の目付で打突する。
(ロ)返し技
相手の竹刀を自分の竹刀で受けた瞬間に手首のスナップを効かせて竹刀で応じた反対側を打突する。
(ハ)抜き技
相手を攻めた上で相手に打たせ足さばきなどで相手の打突を抜いて反撃に転じる。
(ニ)打ち落とし技
打突してきた相手の竹刀を上からたたいて落とし隙を狙って反撃に転ずる。

(2)残心とは何か

残心とは打突を行った後も油断をせず緊張を保って相手の反撃に応じる心構え気構えを持つことである。
打突後間合いをとってただちに中段等の構えを取る。また相手の反撃に備える適正な間合いがとれない場合は剣先を相手の中心(咽喉部等)に向けて反撃に備える場合もある。
ただちに油断なく身構えないと次の動作に変化ができないため試合においては残心のない打突は、たとえ正確に打突していても有効打突としての一本にならない。また真剣による勝負の場合には相手が決死の気持ちで最後の反撃に出る可能性があるために必要な動作である。
剣道形においては上段または脇構え等による残心が明示的に示されている場合でなくてもすべての形において十分な気位を持って残心を示すことが必要である。

(3)剣道の先生より受けた良い点について記せ(これは出題として難問!)

剣道を始めた子供の頃に剣道は礼に始まって礼に終わるということを教わった。先生や先輩はもちろんのこと仲間に対してもけじめをつけて礼をする習慣がついたように思う。剣を合わせて向かい合う相手に対して尊敬の念を持ち勝負を終えた後も勝ち負けに限らず敬意を形に表す。剣道は対人的格闘技であるので、ややもすると闘争的本能を発揮しやすくなる。この本能を礼儀によって人間的に統制するところに礼の意義がある。
礼法の重要さを改めて認識したのは大人になってからである。礼法は社会における様々な競争や葛藤において人間性を持って人に接する方法を示唆している。
また礼法だけではなく、気剣体一致の言葉に表されるように構え、蹲踞や間合い、または打突において精神性や気力の充実が必要とされる。体を鍛えながら心を磨くことができる点が剣道の良さと思う。

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

おめでとう!!

匿名 さんのコメント...

おめでとうございます。想像以上に奥が深い世界なのですね。
何事も極められるお姿、いつも尊敬しています。

kohs_K さんのコメント...

匿名さん
ありがとうございます!前回機会を逃したこともありとても嬉しかったです。

kohs_K さんのコメント...

yutaka tsutsumiさん
ありがとうございます。剣道の高段者と話をしていると剣道談義となりとてもついていけないのですよ。不思議な世界です。