土曜日, 4月 24, 2010

久々のバイショウ


 関西ではバイショウと言ったのだが、東京ではゴトシというらしい。先週金曜日に久々にバイショウをやった。場所はヒルトンホテルで某団体でのディナー・パーティでのバイショウであった。メンバーはいつもバンド活動をやっているRose(vo)とこの関連で最近付き合いのあるOさん(b)。

 バイショウは商売、ゴトシは仕事のことでミュージシャン用語なのだが音楽演奏をやってお金をもらうことを言う。バンドのライブ活動等と違うのは報酬のためだけに演奏する、という点である。ライブ活動は自分や自分のバンドのやりたい演奏、表現したい音楽をやってお客様に聴いてもらってチャージをいただく(もちろんいただかない場合もある)のだが、バイショウはその場のニーズに合わせて演奏をして報酬をもらう。
 この日の年齢層は60歳代でジャズ・スタンダード中心に10曲程度をトリオで演奏した。RoseのMCもいつも通りGoodでウケはまあまあ良かったように思う。

 大学時代にバイショウは大きな小遣いの源泉だった。大学生活の最後の1−2年はちょくちょくバイショウの話が入るようになっていた。普通の肉体労働系のバイトに比べると時間効率は格段に良かった。25年前は生演奏をやるイベントやお店はもっと多かったのだろう。
 誰か仲間や音楽の先輩が話を持って来たり、どこかの事務局から電話がかかってきたりする。演奏するのは今回のようなホテルでのイベントやダンパ(ダンスパーティ・・・死語)、ピアノラウンジや生演奏付きのバー、キャバレー、スキー場のペンション等である。僕ら学生が音楽事務局から連絡されるのは主にトラ(代役)としてで、事務局の方もプロの人の穴があいて困ることも多いらしく学生の連絡先リストを持っていたようである。

 当時のバイショウを思い出すと、、、

 大阪の繁華街でのキャバレー。店の名前は忘れた。だいたいは京都での学生バンド活動が多かったが大阪でやっていたバンドが一つだけあって1−2回このバイショウに呼ばれた覚えが。。。当時の典型的なキャバレーでステージがあり客のBOX席があっておねえちゃんがいる、という感じの店。ポップスやジャズを譜面を渡されて演奏する。(バイショウの譜面は基本、当日お店に行ってから渡される)
 同じく京都三条にあるベラミという当時の京都では名の知れたキャバレー(山口組田岡組長狙撃事件のあったところ)。ここは仕事がきつい。30分のステージが5回あって報酬がたったのG(ゲー)千(5,000円)。客層もそれなりなので演奏も緊張してやっていた。メイン演奏がクールファイブだったことも。。。
 大阪の某企業のダンパ。当時やっていたソウル系バンドにて。ダンパが一番報酬が良かったし楽しかった。1時間ぐらいの演奏でバンドでC(ツェー)十万(10万円)ぐらい。もっとも十人近くのバンドだったから人数割りだが。
 嵐山の方に赤まんまという店があった。ピアノラウンジ風のお店。ピアノだけでやったり歌の人が入ったり。
 梅田のラウンジの話があって行った時はボーカルのおねえさんが演奏中にしか譜面を配ってくれないのでスリル満点。次の曲の紹介をしながら横から譜面を渡してくる。ピアノはウタバン(歌の伴奏)では前奏を出さなければいけないのでこういうのは非常に厳しいのだ。
 クリスマス・シーズンはホテルでのイベントが多くちょくちょくバイショウ話があった。ベースのHさん(大学先輩)とRoseで京都のホテルでやったことがあった。Hさんがホテルに工事かなんかの作業の人と間違われて大笑い。
 スキー場のペンションでの演奏。若い女の子がたくさんいながら仕事に徹する学生バンドマン。当時も今も真面目?
 
 という感じで1回5千円から1万円ぐらいなのだが、拘束時間は短かいし(通常は3時間ぐらい)何しろ貧乏学生だったもので報酬としてはありがたかった。好きな音楽の演奏でお金になる訳だし勉強にもなるのでできるだけ断らずにやるようにしていた。
 
 バイショウ、特にキャバレー系のやつは基本的にやるべき音楽の種類が決まっており、中にはマンボとか演歌曲も含まれる。当然ながら自分の好きな音楽をやれる訳では無いのでミュージシャンもバイショウの時は結構つらい場合も多いはずだ。なかなか音楽で食べて行くのは難しくて当時も名のあるミュージシャンでも結構バイショウをしていた。

 という訳で会社に入ってから純粋なバイショウらしいバイショウをしたのは今回が初めてだと思う。10年程前に新宿のスナックで月一で演奏していたことがあったが、これは基本的にバンドでやりたい歌をやらせてもらっていたので。また最近(3年前)では千葉の職場近くのバーでこれも月一でやっていてお金もいただいていたが、こちらも好きにやらせていただいていた。

 今回のイベントや客層の品格が高かったのでこちらも気持ちよく演奏ができた。最近は生バンドもハヤラないので、こういう仕事もだいぶ減ったようだ(この日にやったベースのOさん談)。でも機会があれば、たまにはこういうバイショウもいいな、と昔を思い出しながら書いてみた。

 (写真は直接関係ないのだがマイルス・デイビスの書いた絵) 

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ダンパ!懐かしい~・・・と云っても行ったことないですが。確かに死語ですねぇ。
しかし、その場で譜面渡されて演奏できるなんて、すごすぎる!。
わしなんぞ、かつてジャズピアノかじってはみたものの、あのコード譜っちゅーのが全然ダメで挫折でしたー。

kohs_K さんのコメント...

いや、適当な演奏ですよ。
ところでそのハンドルネームはいったい。。。