土曜日, 11月 04, 2006

音楽との出会い


 ジャズやソウルが好きで社会人になって20年と少し経つがバンド活動を何とか続けている。今までどのように音楽と出会ってきたかを書いてみたい。

 音楽が好きだ、この歌が好きだという以前にピアノを習っていた。つまり音楽より先に楽器から入ってしまったわけだ。僕が4~5才の頃に母が習わせ始めたらしいのだが始めた頃の記憶は無い。いやがらずに、というか好きでピアノの練習を続けていた。小学校低学年の頃に教室のオルガンをみんなの前で得意になって弾いていた記憶が残っている。男の子なのに恥ずかしいとかいう感覚は無かったようだ。こういう曲が好きとかこういう表現をしたいとかいう想いは子供なのでまったく無い。楽器の技術に対して表現したいアイディアが追いつかないというのがこの後もずっと続いた。恐らくピアノの先生に「よくできました。この曲はあがり!」と言われて次の曲に進むのが嬉しくて続けていたのだと思う。

 小学校高学年の頃にショパンがとんでもなく好きになった。これもきっかけが思い出せないのだがピアノの発表会で素晴らしい演奏をした子供がいたか、父が持っていたショパンの曲集のレコードかどちらかだろう。また同級生にやはりピアノを習っていた体の大きな友達がいて仲が良かったのだが、彼がまたうまくて触発されて曲を弾いてみたりしていた。簡単なワルツやマズルカ等を弾いてみて自分にもショパンの曲が表現できることに感動していた。ショパン好きはそのまま中学でも続きノクターンなんかは教わったが、当時はとても弾けないポロネーズや即興曲やバラードの演奏があこがれだった。

 中学3年生の時にブラスバンド部に入った。転向した先の中学にそれまで部活でやっていた剣道部が無かったからだ。楽器はトロンボーンで特に大きな理由はない。ちょっと変わった楽器がやってみたかったというのと小学校の鼓笛隊みたいなものに属していたことがあってそこでトロンボーンを持ったことがある(その時は音の出し方もわからなかった)というぐらいのことだ。ブラスバンドはそのまま高校2年生まで続けた。アンサンブルや曲を練習して完成させる過程やコンクールで緊張する経験はとても楽しかった。京都交響楽団と学生との共演のオーディションを受けて大きな会場でやったこともある。この頃好きだったクラシックの趣向は少し偏っていたようだ。ブラスバンドを始めてからは特にピアノ曲もオーケストラも聴いたが、好きな作曲家はストラビンスキー、バルトークの打楽器的なオーケストラ曲。他にももちろん聞いたけどショスタコービッチとかチャイコフスキーとか不思議とロシアの作曲家が好きだった。

 という訳で少なくとも中学校ぐらいまではクラシックしか興味が無くて当時はやっていたフォークは付き合い程度に(話を合わせるため)しか聞いてなかったし、テレビでやっている歌謡曲なんかはまったく馬鹿にしていたというか嫌悪感をいだいていた。ちょっと視野が狭かったね。そして高校に入って何と初めてビートルズを聴いて打ちのめされたというか夢中になってしまったのだ。クラスメートから勧められたのだと思う。何から聞いただろう? A Hard Days Night とか HELP!あたりからかなあ。White AlbumやSgt.Pepper's ~等の少し後のアルバムもすぐに好きになった。これが恥ずかしながらPopsとの最初の出会いとなった。でもこの頃までは洋楽のPopsといえば聞くのはビートルズだけ。

 Jazzを初めて聞いた時はちょっと信じられなかった。アドリブとインタープレイでやっているだなんて。そんなのあり得ない!たぶん高校1年の時に渡辺貞夫のFM番組、マイディア・ライフがこれがもしかしてJazz?という最初の経験ではないだろうか。当時は福村博(tb)がレギュラーだったのだが、トロンボーンをやっていたのでなお更感動してしまった。続けて番組を聞き始めてライブやセッションの素晴らしい演奏を耳にした。何て刺激的な音楽!これしかないね、と。少ない小遣いでジャズのレコードを買い始めた。何もわからないから楽器編成とか、この人有名だよねとか、ジャケットとかで適当に買った。トロンボーン奏者の場所から選んだのでCurtis Fuller, J.J.Johson なんかから始めた。その頃適当に買ったアルバムの中で Miles Davis の Milestones ! こんな音楽聴いたことがない!スリリングなモード・ジャズが好きになった原体験となったアルバムと思う。ブラスバンドは転校のために高校2年でやめたが、その後引き続き乱聴(?)していったのだがやはり多感な時期でその後の好きな音楽を形作っていったようだ。この時期聞いた何枚かをあげると、、、
Miles Davis のAgharta・・・大阪でのelectric liveで名盤でも何でもないがこれはすごい!何回聞いたかわからない。どうやって曲を構成するのだろう。ブレークが完璧に合うだなんて。
Keith JarretのTresure Island・・・どの曲もきらきらしていてのまさに宝物のよう、しかもDown to earthでわかりやすい。
Chick CoreaのReturn to Forever・・・アルバム全体が水墨画のように美しい。しかもスピードに溢れて生き生きとしている。
Tommy FranaganのOver Seas・・・躍動感溢れるピアノ。しかもElvinのドラム・ソロは何て美しいのだろう。
 そしてJazzを始める前にJazz musicianとして生きていこうと思った。そのために大学に行こうと。結局夢は実現しなかったけれど、そう思って生きていた何年かはとても貴重な時期で僕のひとつの帰るべき原点となっている。

 大学に入ってJazzを始めた。ちょっと習った時期もあったが人に教わるのがあまり得意でないため、基本的に独学。フュージョンぽいのから始めたがMilesの60年代を聞いてHerbie Hancockが僕のアイドルとなった。何て知的でファンキーなピアニスト!この音の使い方と間の取り方といったら!!ずっとmodeぽい曲を選んでやっていた。Big Bandには興味が持てずにコンボばっかり。バップから始めなかったので結局Jazz的には遠回りになったかもしれない。でもそれは後からだから言えることで自分が感じた音楽に突っ走ることが重要だったのだろうね。どういう分数コードでテンション出そうとか、outの音を出してinに行くにはどうしたらいいとかばかり考えてた。市川 修という京都のピアニストに習った。この人はあり得ないぐらいパワフルで感性的なピアニストで大好きだった。残念なことに去年亡くなってしまったのだけれど。

 先輩のギタリストにSoul bandを誘われた。またしても刺激的な出会いはDanny HatherwayのLive!これはまさに音楽だった。これを知らずに音楽をやっていただなんて。演奏もすごければ客の反応もすごい。その場が一体になって奇跡を作り出しているという感じ。このSoul bandはその後、originalのblack contemporaryをやるようになり、僕も曲を書いたりアレンジをしたりした。今から思うとレベルが高くてバンドとしてサウンドを作り上げていくことの楽しさはこのバンドで覚えた。その場で構成やアレンジをどんどん変えていく。同じ曲をライブで何回もやるが、やるたびにどんどん変わっていく。バックもリズムも。このバンドのラスト・ライブをやって本当に自分をかけて音楽をやっていた時期はおしまい。本当の天才だけがプロフェッショナルとして音楽をやるべきだと思って普通の社会人となった。それからの音楽人生もとても楽しいということがわかった。今までの話が僕の音楽のバックグラウンドだ。それからのことや個別のクラッシックやジャズやフュージョンやソウルやビートルズの話はまた追々書いて行きたいと思う。

 

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

私も音楽(ピアノ)と出会えてよかったなと思っています。きっかけは、教材に”ネコ踏んじゃった”の楽譜があって、弾いてみたい!って母に頼んで、壁掛けカレンダーの裏を使って、楽譜と鍵盤を教えてもらったのを覚えてます(当時3歳)。初めてJazzを聴いたのはKOHSさんの演奏。感動しました。

kohs_K さんのコメント...

音楽に対する想いは誰しもが自然に持っているのだと思います。ネコ踏んじゃったはピアノのG♭キー(黒鍵)で遊んでいた人が作った曲なのでしょうね。