水曜日, 11月 22, 2006

六本木乱闘未遂事件を振り返る

 今いっしょに僕の片腕となって仕事をしているIのことだ。Iは僕より1年下の後輩だが人間味がありお客様や仲間からも人気があり、僕も仕事やプライベートの面で教えられることが多い。彼とは彼が入社した時から何年か同じ部門だったのだが、この3年程また同じプロジェクトで仕事をしている。Iと僕が若い頃(入社3~4年目ぐらい)の話。

 バブルの頃だった。仕事も忙しかったのだが、飲みに行く時はバカみたいに飲んだりカラオケ(当時はボックスではなくパブ)で歌ったりして遊んでいた。そんなある日。

 場所は六本木交差点から東京タワー方面に少し行ったあたり。その時一緒にいたのは当時8年上の先輩だったSさん(男)、同期のK(これは女性)、I(男)、それに僕。大人数でこの近くで飲んだ後でこのグループとなり二次会の場所を探していた。Iが「このあたりの知ってる店ちょっと探してきますよ。」と軽い調子で言って少し先を歩く。Kと僕が後から。Sさんはお酒はあまり強くないのでかなり酔ってるらしく、やや千鳥足で少し後を歩いている。このSさんという人は極めて温厚で人が良すぎるぐらい良く虫をも殺さぬ優しい人だ。

 Iは鼻歌を歌いながら先を歩いている。そのさらに先に10~15人ぐらいの会社員のグループが歩いていてIは早足で一人で歩いているのでそのグループに追いついた。するとおもむろにIはそのグループの一人に後ろから蹴りを入れ始めた。
僕「あれ!I、知らない奴に蹴り入れてない?」
K「本当だ!蹴ってる、蹴ってる!」  
 蹴られた奴は当然怒り出して、「何すんだよ~!」、という感じでIと揉め出した。これはまずい!僕とKは現場に駆け寄る。悪いのは圧倒的にこちら。相手は人数も多い。非常に不利! 僕は走りながらどうしようか考えた。「しらばっくれて、逆ギレするしかない!」

 追いついてこう言った。以下カッコ内は本心。

僕「こら~!何してんだおまえら、うちの人間が何かやったとでも言うのか!(確実にやってるよなあ)」
蹴られた人「いきなり、蹴ってきやがったんだよ!」
僕「バカか。知らない奴をいきなり蹴るサラリーマンがいるか!(いるいる)」
蹴られた人の仲間が気づいて「どうしたんだ、何揉めてるんだ」
蹴られた人「こいつがいきなり蹴りやがったんだよ!」
僕「何、因縁つけてんのか、何でお前らを蹴らなきゃいけないんだよ。(いや、ホントになんで蹴ってるんだろ)」

 この時千鳥足のSさんもあわててこの場に追いついた。そしてこの虫も殺さぬSさんが、何と、
「こら、お前ら、いい加減にしろ!文句あるのか!」  
 と大声で顔を真っ赤にして怒鳴ったのだ! SさんはIが蹴りを入れている瞬間は見ていないのだ。ほんとに僕らが他のサラリーマンの集団に因縁をつけられていると勘違いしたのだ。
 僕らはそれに仰天してしまった。Sさん、いや、悪いのはこっちなんだけど。。。。

 この時に蹴られたのは一人、このサラリーマン集団の他は蹴られたところを見ていない、僕とKは知ってるが逆切れ、Sさんは知らなくて本切れ、という状況。これが幸いした。
 向こうの集団の蹴られた人以外の人が、
「そうだよなあ、いきなり蹴ってくるわけないよなあ。」
「お前の勘違いじゃないの?」
 と蹴られたことを疑い始めたのだ。蹴られた人は、もう真っ赤になってしまって、
「ホントだよ!ホントに蹴ってきやがったんだよ!」と訴える。
「もういいじゃないか、きっと勘違いだよ。」と諭されて、
「いや、ホントだ!ホントだってば!あわっ、あわあわっ。」と言葉にもならない。

 こちらはここぞとばかり「まだ、言ってんのか、このやろう!」などと追い討ちをかけるものなので、剣幕に押されて、とうとう先方が謝りはじめた。「いや、こちらの勘違いだと思うのでもうよしにしてください。」 ・・・僕らは、それではしょうがないとばかりに睨みながら頷いて立ち止まったまま、集団が歩いて行くのを見守る(たのむ!早く去ってくれ!)。

 という訳で蹴りは一方的に入れる、つまらぬ大ゲンカにはならなくて済む、口ゲンカでは勝つ。これは戦勝祝いだね、ということでその後は4人で飲み直したのだ。Sさんに真相を言うとショックだと思ったのでSさんには言わない。たぶんすごく酔っていたので記憶は無くなっていると思われる。僕らもその後なぜかこの時の話はお互いすることがなかった。

 このIと3年前に一緒に仕事をすることになって最近もよく飲んでいる。ある時、ずっと聞いてみたかったのでこう聞いてみた。
 
「I、何であの時、急に知らない奴に蹴り入れ始めたの?」

 こんな答えが返ってきた。
「その時は蹴りたい気分だったんですよ。」

6 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

蹴りたい気分は、どういう時かIさんに聞いてもらえませんか?私の後方に座っているIさんから蹴りが飛んでくるのが怖くて…。というIさんにはいつもお世話になり、大変感謝してます。

kohs_K さんのコメント...

わかりません。当時も今も論理を超えた世界でお互い生きているのです。

kohs_K さんのコメント...

AOさんはもっとひどい事件を起こしているはず。いつか公表してください。

kohs_K さんのコメント...

Iさんは今年の1月に会社の部長に就任されました。あまり向いてないとは思いますががんばってください。

匿名 さんのコメント...

Iさんが部長に就任されてはずかしいですが、今後ともよろしくお願いします。

kohs_K さんのコメント...

こんな人間が部長になり私は恥ずかしい、というのはさすがに言い過ぎと思います。